さて、今日のネタは米国を騒がせている炭疽菌についてだ。
米国の厚生長官がバイオテロ行為だってコメント出してたわね。こりゃ決まりかな?
バイオテロってのはライフラインにも関わってくるから、民衆心理に作用しやすい。つつき方次第では暴動にまで発展する可能性がある。まさにボディブローのごとく、じわじわと効いてくるだろうな。
全くシャレにならないわね。で、本題の炭疽菌ってのはどんな菌なの?
典型的な土壌菌の一種で、1876年にコッホが発見した。後にパスツールが弱毒性ワクチンを初めて作ったことでも有名だな。土壌菌だけあって世界中に分布しており、特にアジア、アフリカ、南米といった地域では発症例が多い。日本での発症例は、近年、ほとんどみられない。
なるほどね。で、具体的な症状は?
感染箇所によって症状は異なるが、フロリダの患者が死亡した肺炭疽だと、熱やせきの後、呼吸困難になって死に至るそうな。ちなみに肺炭疽の場合、発症すると無治療での死亡率はほぼ100%。他の感染箇所でも致死率は90%以上に達するらしい。
うげ、むちゃくちゃ強いじゃないのよ。治療法がなかったら最悪ね。
一応、ワクチンはあるし、抗生物質も効くらしいぞ。
なんだ、それなら安心。
ワクチンは日本では発売されておらず、米国でもアバント社しか作ってないから供給量に問題があるわな。あと、副作用の発生頻度が高いので、米国でも一般に広く接種することは勧められていないそうだ。
んじゃ抗生物質・・・まさか?
うん、そのまさか。一般に、抗生物質を乱用すると耐性菌の発生を招く。炭疽菌も例外ではなく、すでに耐性菌が報告されているらしい。
どないせいっちゅうんじゃ。
防衛庁は石けんでよく洗い、漂白剤を10倍に薄めた消毒液で消毒せよと言うコメントを出しているが。
・・・ウラがあるわけ?
「多くの細菌は」という注釈が付いているのが一つ。それから、炭疽菌は環境が悪化すると「芽胞」という殻に閉じこもるんだが、この状態では熱、日光、消毒に対して非常に強い抵抗力を持つらしい。
・・・。つまり、芽胞の状態では消毒しても無駄ってこと?
話を総合するとそうなる。しかし芽胞の状態では持ち運びしやすくなるらしいから、この状態での感染力は皆無に等しいと思うが、肺炭疽ってのは芽胞を吸引することで感染するそうな。非常にまれな例らしいが。
どーせーちゅーんじゃ。
さらに付け加えるなら、兵器転用の実績もある。1950〜1960年代のアメリカは炭疽菌を兵器化してたし、イラクや旧ソ連も保有してた。現在では国際条約でこういった生物兵器の使用、製造が禁止されているが、中近東諸国には条約に加盟してない国もある。
軍事利用の実績はダテじゃないって? そういえば、オウム真理教も炭疽菌を使ったテロを計画してたって話聞いたことがあるわ。
とまぁ、非常に面倒なことこの上なしな細菌兵器だったりする。帝京大教授が今の日本で発生したらお手上げ、というコメント出しとるが。さて、どうなることやら。
とりあえず、手洗ってうがいしとこ・・・。