皆様、こんばんわ。修論発表会が近いため、管理人がテンパっております。今までまじめに実験やらなかったツケが返ってきているだけなんですが、その慌てぶりを見ていると実に愉快ですね。
予定外の方向に話が進んどるだけじゃ。
というわけでお泊まりが確定したんですが、実験にケリが付いたとかほざいてブラウザ立ち上げてるバカがいます。夜中とはいえネットに潜ってるヒマがあるなら実験しろよとか言いたくなるんですけど、いかがでしょ。
試薬切れ。
さて、そんな経緯で拾ったネタの一つに「通話を骨で聞く電話機」なるものがありました。これは三洋電機が発表した「骨伝導電話機」というもので、耳が遠い高齢者の方でも相手の声をきちんと聞くことができるというものです。
その効果には個人差があるが。
要するに、鼓膜ではなく頭蓋骨を振動させて音を認識するというシステムだそうです。この電話機を使用するにあたって特に必要な物はなく、受話器を耳周辺に当てて使用します。受話器には振動部が搭載されていますので、これが頭蓋骨を振動させます。
そして聴覚神経に伝わり、音として聞こえる。
では、そのプロセスはどうなっているのでしょうか。それにはまず、音の伝わり方を紹介します。音、つまり空気の振動は、まず鼓膜を振動させます。この振動は耳小骨と呼ばれる小さな骨で増幅され、蝸牛(かぎゅう)という器官から聴覚神経に伝わります。
この説明では一部はしょってある。
さて突然ですが、指を両方の耳に突っ込んでみてください。すると外の音はほとんど聞こえなくなるのに、自分の声だけははっきりと聞こえるかと思います。これは、自分の声が頭蓋骨を通して聞こえているからです。
録音した自分の声に違和感を感じるのは空気振動からの音だけを聞いているから。
この頭蓋骨ルートの伝わり方を「骨伝導」といいます。つまり、頭蓋骨に適切な振動を直接与えてやれば、かなり明瞭に音を聞くことができるはずです。この場合、鼓膜は不要ですね。
でも蝸牛と聴覚神経は生きている必要がある。
この骨伝導を見事に利用したのがベートーベンです。彼は30歳頃から聴力が衰え始めたそうですが、交響曲第一番を書き上げたのはまさに30歳を迎える1800年のことでした。彼はタクトの端を口にくわえ、もう一端をピアノに当てて作曲したそうです。
ちなみにベートーベンは56歳で没した。
彼はやがて聴力を完全に失いますが、この過酷な運命を乗りこえて生まれたのが、交響曲第五番「運命」、第六番「田園」だそうです。そして最高傑作と呼ばれる第九番「合唱」に至ります。
他にも歌劇、協奏曲、ピアノソナタなど、名作多数。
さて話を現在に戻して、骨伝導を利用した製品は実は結構たくさんあります。「骨伝導」で検索かければ、結構簡単にヒットしますね。たとえば株式会社テムコジャパンが製造する「きくちゃん」なんて製品がありました。
マイクで音を拾い、額に振動部を当てて音を聞くらしい。
また健常者にも骨伝導は有効です。NECエンジニアリングが開発した「骨伝導イヤーマイク」がそうですね。これはPHS用のイヤホンマイクですが、スピーカーだけではなく、マイクも骨伝導を利用しているのが特徴です。
発声の方も原理は同じ。
普通のマイクやスピーカーと違って、騒音条件下でも明瞭な通話をすることができます。また、ぼそぼそと話してもきちんと声を拾ってくれるそうです。証券取引所や工場などでは有効そうですね。
その他、隠密任務とか。
さて今回は、骨振動を使った製品から耳の構造についてお伝えしました。難聴の方にお話を伺ったんですが、「使ったことがないのでよくわからないが、私なら補聴器を買う」とのこと。実際、どの程度の効果があるんでしょうか。一度、使ってみたい気はしますね。