火星探査機”のぞみ”、その現状 (2003/12/02)

ども、お久しぶりです。毎度毎度、更新の間が開きまくってますが。ちなみに今回は、言い訳すらできない状況です。何せ、書きかけの原稿がちらほらと。このまま廃棄しちゃおうかとも思いましたが、やっぱもったいないな〜というのがホンネでして。

んじゃ、再利用すれや。

うん、やった。で、書いた。あとは最終チェックやってアップするだけ、という状態だったのよね。今回は火星ネタを再利用して、日本の火星探査機"のぞみ"の状況について書くつもりだったんだけど。

何かとトラブル続きの探査機だな。先日はそこら中で議論されていたが。

まさにそのネタやるつもりだったのよ。ところが、アップの作業やってる途中でH1Aロケットの打ち上げ失敗でしょ。内容が内容だけに、そのままあげるのはちょっと問題がありそうな気がしたわけよ。

まぁ、確かに微妙なネタだわな。せめてもう3日早くアップしてればとは思うが。

後悔先に立たず。でもまぁ、そのまま捨てるのももったいないから、こうして再々利用してるわけ。最初はちょっと書き直すだけのつもりだったんだけど、ほとんど全部書き直しになったのはご愛敬ということで。

いつものことだな。で、本題の「そこら中の議論」については？

事の発端は11月13日の「火星探査機「のぞみ」、火星衝突の危機」という記事ね。オンライン版の元記事はタイムアップで消されちゃってたから、Googleキャッシュへのリンクだけど。

紙の方の夕刊では、「とんだ到達　２００億パー」というサブタイトルが付いたそうだが。

要約すると、日本の火星探査機"のぞみ"は火星に衝突するとのこと。原因は電気系統の修復が完了していないからで、「火星へ一番近道となる“衝突航路”を選んだのが裏目に出た」らしいわね。

微妙にツッコミどころ満載に思えるな。

すでにいろいろなところで議論されてるけど、情報として確実なのはJAXAの発表ね。ここでの骨子は、1."のぞみ"は火星に衝突しない、2.現在は修復作業中である、の2点。ちなみに最接近時の火星との距離は約894kmだって。

測定誤差を考えれば火星と衝突する可能性もあるが、それでも1%程度だそうだ。これを考慮に入れても「衝突することが明らかになった」という表現は微妙だわな。

むしろ、衝突の可能性があるほど高精度な軌道制御技術を褒めるべきよね。6月のスイングバイの時、"のぞみ"はすでにボロボロだったワケよ。その状態で理想の軌道にピンポイントで乗せたんだから。

そういえば昨年4月の太陽フレア食らって、電源系の一部がやられてたっけな。

姿勢制御用燃料のヒーターね。ここがやられると燃料が凍りついちゃうから姿勢制御ができず、当然の結果として火星の周回軌道に乗れなくなってしまう。このままほっとくと、人工惑星として太陽の周りを回り続けるというわけ。

つまり、ミッションの失敗というわけだが。

「当初の」計画はね。でも、地球周辺や惑星間空間の観測といった予定外の成果、先述の軌道制御技術をはじめとする技術的知見なんかを考えると、少なくとも完全な失敗ではないわね。間違っても「200億がパー」という表現が適切とは、とても思えない。

そもそも12月14日に火星周回軌道へ投入すべく、現在は復旧作業中だ。つまり、ミッションは継続中。

そう、まさに最後の"望み"をかけて、懸命の努力が続けられているのよね。このタイムアップは12月10日頃。もしそれまでに復旧できない場合は、火星から少しでも遠ざかるよう、軌道修正を行う。メインエンジンは生きているからね。

周回軌道への投入と違って、軌道を少し変えるだけなら姿勢制御の必要はないわな。

そういうこと。でもこの程度の情報だったら、ずいぶん前からネットに上がってたはずなのよね。少なくとも6月のスイングバイが完了した時点で、現在のすべての軌道要素が決まってたわけだし。

つまり、ちょっと調べれば、あんな記事は書けなかったわけだ。

そのはずなんだけどね。さて今回は、日本の火星探査機"のぞみ"についてお送りしました。今まで数々のトラブルを乗り越えてきた"のぞみ"ですが、今回も見事復旧することを心から願っております。では、次回まで失礼します。