厳しい残暑も緩み、ここ2週間ほどでずいぶん過ごしやすくなりました。秋の虫の音が聞こえてくるのはいいんですが、いいかげんうるさくて寝るに寝れない今日この頃です。マジ寝不足なんですけど。
今日の浜松は30度越え。一般には真夏日というんだが。
そんでも風はずいぶん涼しくなってきたし、だんだんと過ごしやすくなってきてるわよ。さてチェコの首都、プラハで開催されたIAU(国際天文学連合)の総会では、「惑星」の定義について議論されたことは前回お伝えしたとおりです。
冥王星が惑星から降格したな
降格……まぁ、降格といえば降格か。確かに言葉の上ではそうだけど、冥王星がEKBO天体の代表格だってのには変わりがないし、学術的にみて重要度が下がったワケじゃないんだけどね。占星術方面ではどうだか知らないけど。
占星術師からは余韻が残っている、なんてコメントが出てたぞ。
まぁ、あっちはあっちということで。さてプラハといえば、チコ・ブラーヘやケプラーが活躍した土地。いわば天文学の聖地でこういう歴史的な決議がされたのは、なにやら因縁めいたモノを感じるわね。
お前の予想は、その聖地では議論持ち越しじゃなかったっけか?
うっさい。まさか、原案があれだけ激しく変わるとは思いもしなかったわよ。原案の段階では、冥王星は惑星のままだったのよ。こういうのって普通は原案からあんまり変わらないのに、ふたを開けたらあら意外、って。
つまり、原案がいい加減なモノだったと?
それは違うと断言させてもらうわよ。確かに科学的にはあんまりすっきりしたモノではないけど、文化的な影響を考えたらよく考えられていたと思う。それに加えて、惑星の下限を定義したことは非常に大きな意義があるわよ。
下限が低すぎやせんか? あの定義だと、惑星がぽこぽこ増えることになるぞ。
確かにそこはツッコミどころね。2003UB313の発見者であるマイケル・ブラウン博士によると、すでに惑星候補が50個以上見つかってるらしいわね。博士が提示した「新しい太陽系の図」は、そりゃもうにぎやかだったわよ。
鬱陶しいだけだ。
さて惑星についての原案と決議案の違いは大きく二つ。まず第一に、太陽系に限ると明記されたこと。第二に、その領域で圧倒的な支配力を持つという条件が追加されたこと。科学的には、特に二番目の持つ意味は大きいんじゃないかな。
その心は?
これね、現在主流になってる惑星の生成理論が元になってるのよ。一番大きい塊が他の小さな塊をどんどん引きつけて、暴走的に大きくなっていくという考え方ね。小さいのは飲み込まれるかはじき飛ばされるかして、その領域上に残れないってわけ。
メインベルトやEKBOの連中は成長しきっていないワケか。
そゆこと。他にも材料があるウチは惑星と認めないってわけ。しかし、ここ最近の惑星生成に関する知見が広がったおかげでこういった定義ができたともいえるわね。なんか、科学の進歩を感じるんだけど。
科学は自分自身を書き換える、か。
あと、紆余曲折があったにせよ、純粋に科学的な根拠に基づいた定義に落ち着いたことも高く評価したいわね。天文学者の良心は政治的な力学に惑わされなかったってことなんだけど。ほら、今回はいろいろあったからねぇ。
ああ、アメリカな。
惑星の中では唯一、アメリカ人が発見したモノってことで、ある意味ではアメリカ科学界の象徴だからねぇ。ニュース見ると、決定を覆すように署名運動をしてたりするみたいだけど。
署名つったってまだ300人そこそこだろ。決定を覆すには少なすぎやせんか。
IAU総会で投票した人数が少なすぎるってのがこの運動の根拠の一つなんだけど、署名の数はそれにすら満たないわね。まぁなんにせよ冥王星が大きく注目されたわけで、これが天文学の理解と発展につながればなぁと思います。