春の陽気はとっくの昔に過ぎ去り、いつの間にやら梅雨まっただ中の鬱陶しい季節になりました。ども、こんばんわ。前回がゴールデンウィーク中でしたから、実に2ヶ月半ぶりの更新になります。
私の中では半年ぶりくらいだったんだが、まだ2ヶ月半だったか。
ちょいマテ。「まだ」じゃなくて、「もう」でしょうが。だいたい、前回は連休明けたら余裕ができるとか言ってなかったっけ? イイカンジの日差しが、いい加減クソ暑くなっちゃったじゃないのよ。
つーても、膝ぶっ壊してまともに動けなかったりとかしたんだがな。
まぁ、アレは事故よね、実際。ところで先日、misuzuさんから水の硬度について聞かれたらしいわね。1620mg/lなんてふざけた硬度のミネラルウォーターがあるんだけど、そんなモン飲んだらどうなるのかって。
ヘタせんでも腹壊すんじゃね? 少なくとも私は飲みたいと思わんのだが。
えーと、硬度の高い水を飲んだらどうなるかというのを調べてみると……。おなかがゆるくなるとはよく言われているわね。実際、硬度の高い水は硫酸マグネシウムを含んでいることが多いんだけど、これって下剤だし。
そういえば硬度の定義ってなんだっけ?
水中のカルシウムイオンとマグネシウムイオンの総量。計算方法はいくつかあるけど、日本の水道局では炭酸カルシウム濃度に換算する、アメリカ硬度を採用してるわね。ちなみに、ミネラルウォーターの表記も同様。
ふむ。WHOの基準だと、60mg/l未満が「軟水」、120mg/l未満で「中程度の軟水」、180mg/l未満で「硬水」、それ以上は「非常な硬水」になっているな。
ちなみに日本の水道は地域によって違うけど10〜100mg/l程度だから、ほとんどが軟水ね。そんな水に慣れた日本人が、1620ml/lなんて常識外の硬度の水なんか飲んだらどうなるんだろうね。
死ぬことはないはずだが、あんまり考えたくないな。ところで、硬水ってまともに飲めるのか?
別に飲んだら必ずおなか壊すワケじゃないわよ。たとえばエビアンは硬度が300mg/l弱あるけど、飲んだらトイレ直行ってワケじゃないでしょ。でも、硬水は生活用水としては使いにくいのも事実ね。
具体的には?
石けんが泡立たないってのは有名よね。硬水での消費量は軟水の時と比べて3割増って実験結果もあるし。でも、合成洗剤だったらたいがい泡立つけど。あとは配管が水垢で詰まっちゃうんで、工業用としても使いにくいらしいわね。
いいことねーじゃんよ。
だから、煮沸するとかイオン交換膜を通すとかして軟水にしてから使うのよ。んでも硬水は硬水で使いどころがあって、たとえば日本酒の醸造には硬水の方が向いているらしいわね。他にはスコッチウィスキーの水割りとか紅茶入れるときとか。
そういえば紅茶の本場ロンドンは硬水だったな。というか、欧州はほとんどが硬水か。
あっちは大陸だからねぇ。地上に降った雨は地面に浸透して地下水に、そして河に集まって長い時間をかけて海へ。岩盤に接している時間が長いから、それだけたくさんのミネラルを溶かし込むことになるのよ。
日本は急流が多いから、ミネラルが溶け出すヒマなく流れてしまうんだな。
おおむねそういうこと。当然、地質によっても全然変わってくるけどね。たとえば石灰岩が多い地質だったら、短時間でも大量のカルシウムイオンが溶け出すし。だから地域によって硬度はずいぶん変わってくるわよ。
関東、九州、沖縄あたりは硬度が高くて、その他は低い傾向があるらしいな。
甘い。極端な例だけど、沖縄県国頭郡本部町では大嘉陽浄水場の硬度が80mg/l前後に対して、伊豆味第一浄水場では実に200mg/lに達するのよ。あ、本部町は東西、南北共に10kmくらいだから、あんまり広くないかんね。
うーむ、ホントに同じご町内かよ。
水源が変わるとこんなモンよ。さて今回は、ご質問に答える形で水の硬度について調べてみました。これからも、こういったちょっとした科学ネタは積極的に取り上げていきたいですね。